【秋の日本酒】「ひやおろし」とは?その特徴とオススメ5選

ひやおろしと通常酒の違い 日本酒

食欲の秋。酒好きにとっての秋の味覚といったら「ひやおろし」。

毎年9月ごろになると見かけ始める秋の日本酒。

今回はそんな「ひやおろし」について、日本酒初心者でも楽しめるように紹介します。

 

ひやおろしとは?

「ひやおろし」とは、春に搾ったお酒に一度火入れ(加熱殺菌)を行って、秋まで熟成させてから、通常の日本酒で行う、出荷前の火入れを行わないで、出荷される日本酒。

秋の日本酒として、江戸時代から楽しまれてきました。

ひやおろし 画像

紀土 -KID- 純米吟醸 ひやおろし 720ml きっど

 

2度目の火入を行わないことで、蔵元で熟成させた、お酒の繊細な香りや味わいのバランスを、加熱によって変化することを防ぐことができます。

 

ひやおろしと通常酒の違い

 

通常の日本酒だと、出荷前に2度目の火入れを行うが、これは日本酒がもっとも美味しい状態で、長い間その風味をキープできるように、加熱によって酵素の働きを止めるためです。

これは冷蔵庫がなかった江戸時代に、日本酒が気温の変化によって品質が変わってしまうのを防ぐために生み出された知恵です。

逆に言えば、2度目の火入れを行わない「ひやおろし」は瓶詰めされていても中の酵素が生きているため、味が変化しやすいが、それを楽しむのも「ひやおろし」の醍醐味でもあります。



ひやおろしの特徴

では2度目の火入れを行わない「ひやおろし」にはどんな特徴があるのでしょう。

日本酒

フレッシュな味わいを堪能できる

なんといっても「ひやおろし」の特徴は2度目の火入れをしないことによる、生のフレッシュ感

生詰め酒である「ひやおろし」は、生酒や生貯蔵酒のようにみずみずしい。

そのキリッとした酸味と甘みのバランスは、通常の日本酒よりは荒々しく感じるが、秋の味覚であるサンマとの相性はバッチリ。

夏の新酒と飲み比べて、角が取れてまろやかな味にまとまった、秋のひやおろしを堪能すれば、秋の訪れとともに日本酒の成長を感じることができます。

 

熟成の旨味を堪能できる

一度めの火入れが終わり、夏を越えた日本酒は、熟成が進み、味わいが馴染んでくる。

新酒と比べて穏やかで落ち着いた香りと、まろやかな旨味を持ちます。

熟成によってアルコールと水分の分子が落ち着いた「ひやおろし」は、口に入れた途端に滑らかな舌触りと、フレッシュな味わい、お米の甘みがバランスよく感じることができる秋だけの日本酒。

旨味ができてきた「ひやおろし」は、旨味が強いきのこ類と合わせても、お互いの良さを引き出してくれます。

 

秋の深まりを実感できる

「ひやおろし」は一般的に9〜11月に出荷されるが、それぞれ「夏越し酒」「秋出し一番酒」「晩秋旨酒」と呼ばれ、徐々に熟成した味わいへと変化する。

9月に出荷される「夏越し酒」は、まろやかだが、フレッシュ感が残っている。そのためフレッシュ感を活かす、冷酒、常温、みぞれ酒で味わうのがおすすめ。

10月に出荷される「秋出し一番酒」は、熟成が進み、味と香りのバランスが一番良い時期のお酒。人肌燗(35度)がおすすめ。

11月に出荷される「晩秋旨酒」は、ほとんど完熟の状態で、熟れ切った豊潤な味わいが特徴。熟成感や香りを楽しみたいので、ぬる燗(40度)か熱燗(50度)がおすすめ。

同じお酒でも秋の間に風味が変化するので、「ひやおろし」を堪能しつつ、秋のうつろいを楽しむことができます。

お酒を楽しみながら、季節のうつろいを感じることができるのは、日本酒ならではの特徴。日本に生まれてきてよかった、、、

 

おすすめ5選

毎年「ひやおろし」を楽しんでいる人にとってもおすすめなのが、「二夏越え」

このお酒は読んで字の如く、2度夏を越えた「ひやおろし」です。

熟成技術の向上によって2度夏を越えた日本酒は、じっくりと熟成されているため、旨味はもちろん芳醇な熟成香が特徴的

そんなプレミアムな「ひやおろし」が最近は増えてきています。

 


大正の鶴 二夏越え 純米 無濾過原酒 1800ml

大正の鶴 二夏越え 純米 無濾過原酒 1800ml

岡山県真庭市の落酒造場のひやおろしは二夏越え。朝日米を使用したこのひやおろしは、常温の冷やや、50℃の熱燗、55℃以上の飛び切り燗がおすすめ。2回夏を越えた熟成感たっぷりのひやおろしを飲みたい方におすすめ。


 

浦霞 ひやおろし 特別純米酒 1800ml

浦霞 ひやおろし 特別純米酒 1800ml

2022年は9月9日に販売開始した浦霞のひやおろし。まろやかでふくらみのある味わいは、どんな秋の食材とも相性抜群。冷やして飲むのがおすすめ。

 


 

ひやおろし 2022 純米吟醸 750ml

作  ひやおろし 2022 純米吟醸 750ml

三重県鈴鹿市の酒蔵、「作 ZAKU」。夏を越した爽やかな酸と、干し草を思わせる香り。どこか涼やかで落ち着いた後味が特徴。

 


 

陸奥八仙 オレンジラベル 純米吟醸 ひやおろし 1800ml

陸奥八仙 オレンジラベル 純米吟醸 ひやおろし 1800ml

青森県、陸奥八仙の八戸酒蔵で造られたひやおろし。キレイな酸や旨味が特徴で、味にまろやかな丸みがある。カツオのたたきやサンマの塩焼きとの相性抜群。

 


 

真澄 純米吟醸 秋あがり 1800ml

真澄 純米吟醸 秋あがり 1800ml

長野県にある宮坂醸造の真澄。まろやかに秋上がりした山廃仕込みの純米吟醸ひやおろし。濃密な旨味とほどよい酸味が調和して、秋の味覚の良さを引き出す。

 

まとめ

秋の日本酒、「ひやおろし」。

通常の日本酒で行う2度目の火入れを行わないで出荷される日本酒。

そのフレッシュさと、夏の新酒に比べて熟成された旨味と、穏やかな酸味のバランスが一番美味しい状態で楽しめる。

また、秋の間にも熟成が進むので、9月・10月・11月と3度楽しめて、秋深まりと日本酒の成長を楽しむことができます。

10月1日は毎年「日本酒の日」で日本酒が持ち上げる時期なので、ぜひその日に「ひやおろし」で晩酌を彩ってみてはいかがでしょう。