メスカルってどんなお酒?テキーラとの違いとおすすめの飲み方

「メスカル」ってお酒聞いたことありますか?

メスカルはメキシコ原産の蒸留酒で、通称「テキーラの母」と呼ばれています。

テキーラといえばアガベという植物から作られるものですが、メスカルも実はアガベから作られるお酒です。

では、テキーラとメスカルは何が違って、どうして「テキーラの母」と呼ばれるのでしょうか。

 

メスカルとは?

メスカルはテキーラと同様にアガベから作られる蒸留酒です。

しかしメスカルは500年以上前から存在しています。

メスカルは52品種ものアガベが使用され、テキーラと同じように、葉を切り落とした球茎部分を蒸し焼きにして、搾汁したものを発酵させ、蒸留して造られるお酒です。

またアルコール度数は40度前後のものが多い。

メスカル アハル 40度 750ml RS

でもアガベってそもそもなんぞやって思いますよね。まずはアガベをご覧ください。

アガベとは?

アロエみたいな見た目ですね。

アガベは和名で竜舌蘭(リュウゼツラン)と呼ばれる多肉植物です。

アガベはアメリカ南部、メキシコなど中央アメリカ、南アメリカ大陸などに分布し、乾燥した場所に自生している植物です。

最近ではインテリアとして育てる人も増えてきているらしいです。(サボテンみたいに育てやすいのかな)

このアガベが自生しているメキシコでは、アガベを使ってお酒を作ってきました。

それがメスカルであり、テキーラでもあります。

テキーラとの違い

では主原料が同じテキーラとの違いはどこにあるんでしょうか。

その違いは主に4つあります。それぞれ見ていきましょう。

産地

メスカルはメキシコの10州で生産されています。

①オアハカ州
②ゲレロ州
③プエブラ州
④ミチョアカン州
⑤グアナファト州
⑥サンルイスポトシ州
⑦タマウリパス州
⑧サカテカス州
⑨ドゥランゴ州
⑩シナロア州

 


 

それに対しテキーラはメキシコの5州で生産されています。

①ハリスコ
②ナヤリ
③ミチョアカン
④グアナファト
⑤タマウリパス
テキーラはメキシコ・ハリスコ州の地方自治体の1つである町の名前「テキーラ」に由来しています。
実はテキーラはもともとメスカルのうちの1種類であり、1974年にテキーラ地方にある「Sauza(サウザ)」という有名な会社がメスカルを「テキーラ」と呼称して、アメリカなど海外に売り出し、世界的に知られるようになりました。
つまりテキーラは「テキーラ地方のメスカル」ということになる。
このことからメスカルは「テキーラの母」と呼ばれる所以ともなります。
産地での違いで言えば、メスカルは上記の10州で作られるのに対し、テキーラは上記の5州で作られるメスカルの原産地呼称である。
品種
メスカルは52種類のアガベの使用が認められています。またアガベだけでなく、蒸留器の中に果物や肉を入れて造るものも多い。そのためワインのように様々な種類の品種からなるメスカルを楽しむことができます。
そしてメスカルの中には、芋虫(グサーノ)やチリ(唐辛子)などがボトルに入ったものもあります。
芋虫を入れる理由としては諸説ありますが、メスカルに生きたままの芋虫を入れて、芋虫が即死することで高い度数を証明したという説があります。また芋虫が幸せの象徴であるという説もあります。
日本でこんなの出てきたら、発狂もんですね。

これに対してテキーラは「アガベアスル」という種類のアガベ1種類のみが主原料として認められています。そのためメスカルのように品種で味の違いを楽しむということはできませんが、産地や樽熟成による違いで風味の違いを楽しむことができます。
テキーラに使われるアガベアスルの代表的な産地(テロワール)は「バジェス」と「ロスアルトス」です。
バジェス」は火山灰質の水捌けが良く、乾燥した暖かい気候であり、ハーバルなトーンでミネラル感のある味わいのアガベが育ちます。
それに対して「ロスアルトス」は鉄分を多く含んだ土壌で、日中の寒暖差が激しい気候のため、水分を多く含むフルーティーなアガベが育ちます。
このようにテキーラは産地によって風味が大きく変わってきます。
日本ではテキーラはショットのイメージが強くて、味わうことが少ないように思いますが、現地ではもちろんテキーラはウイスキーのように一杯ずつ味わって飲むものです。
次にテキーラを飲むときは風味を味わって飲んでみては。

製造法

メスカルは今でも伝統的な製法で作られており、主に小屋で作られています。

その製法はまずアガベの中心部の球茎部を加熱ます。その際に「タテマド」と呼ばれる蒸し焼き窯でローストされます。

その後「タオナ」という回転式の石臼で搾汁され、繊維と一緒に木製の発酵槽で自然発酵されます。

多くのメスカルは、小型の原始的な薪によって直火式の単式蒸留器で最低でも2回蒸留されて作られます。

その後は水を加えずに原酒のまま出品されるものが多いです。

またメスカルはテキーラと違い、樽熟成をほとんどしません。

このように手作業で作られるメスカルは、その年の気候環境によって同じ製造元でも風味が変わってきます。その違いもメスカルの楽しみ方の一つとも言えるでしょう。


 

それに対してテキーラは工場で作られます。そのためメスカルとは違い、毎年風味が安定しています。

工場で作られるメリットは風味の安定の他に、大量生産が可能であり比較的安い値段で販売できるという点があります。この点が現在テキーラを世界的に有名した要素なのではないでしょうか。

テキーラはメスカルのように毎年の風味の違いを楽しむことは難しいですが、気に入ったテキーラがあれば毎年その味を楽しめるところがいいですよね。

 

熟成

テキーラの製法はメスカルと似ていますが、テキーラは樽で熟成することが多く、樽の種類や熟成期間、樽の内側を焦がしたり焼いたたりする度合いや、熟成時のアルコール度数、貯蔵庫の温度や湿度、樽の使用回数などの要素で風味が異なってきます。

なぜメスカルが樽熟成をあまり行わないのかというと、原料であるアガベそのものの風味を味わってほしいからです。

アガベはそもそもメスカルの原料になるまで、最低でも5〜6年かかります。また野生種のアガベの場合25〜30年かかるものが多いです。

そのため樽熟成によって樽の風味がメスカルに移るよりも、アガベそのものの風味を活かしたものに価値があります。

ウイスキーが樽熟成の期間が長いと価値が上がるのとは対照的ですね。

 

フレーバーの違い

では違いが分かった上で、実際にアガベとテキーラは風味ではどのような違いがあるのでしょうか。

メスカル

メスカルは52種類のアガベが使用可能なので、幅広いフレーバーがあります。様々な種類のアガベをブレンドしたものもあり、ワインのように奥深く複雑な味わいのものも多いです。

メスカルはアガベを直火で蒸し焼きしているため、メスカルの方がスモーキーであるという特徴もあります。

また野生種のアガベを使ったメスカルは、ワイルドな草味を感じることができます。これも樽熟成を行わないためですね。

さらにメスカルは芋虫や果物、蜂蜜、ハーブ、香料などを加えて製造するもの(アボカド・コン)や、蒸留の際に鶏や七面鳥、ウサギの胸肉、果物、トウモロコシのひげなどを入れて風味付けするもの(ディスティラド・コン)がある。

 

テキーラ

テキーラの特徴としてはスッキリとした味わいがあげられる。これはメスカルがアガベを直火で蒸し焼きしているのに対して、メスカルは蒸気で加熱していることが関わっています。

またテキーラは樽熟成を行うので、樽の風味が感じられます。また使われる樽や熟成期間によって風味が異なるので、ウイスキーのように熟成年数が長いと深い味わいになります

テキーラは熟成年数によって5つのクラスに分けられ、短いものだと2ヶ月未満(熟成しないものも含む)で、長いものだと3年以上熟成させる。

テキーラの5つのクラス
ブランコ
:熟成期間0〜2ヶ月。アガベ本来のフレッシュな味わいを楽しめる。
ホベン/ゴールド:ブランコに他のクラスの熟成したテキーラを合わせたもの。
レポサド:熟成期間2〜1年未満。軽い甘みとフルーティーさがあるソフトな風味。
アニェホ/アネホ:熟成期間1〜3年未満。樽由来のまろやかな甘みを感じられる。
エクストラアネホ:熟成期間3年以上。奥深い味わいで樽の個性が強く表れている。

 

おすすめのメスカル

現在はメスカルはあまりお店では見かけません。酒屋さんでもほとんど見かけないので、オンラインで選んで買うことをオススメします。

今回は個人的におすすめのメスカルを紹介します!

ワハカ エスパディン

ワハカ エスパディン

オアハカ州のオーガニックメスカルで、‎東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2022で金賞を受賞している。アガベ「エスパディン」を100%使用し、工業機械を一切使わないで造られたクラフトメスカル。ストレートで飲むのがおすすめ。

ソンブラ メスカル

ソンブラ メスカル

ストレートで飲むと、柑橘系の香りが口の中を温め、後味はすっきりとした果実味が特徴。2016年にSFスピリッツ・コンペティションでダブルゴールドメダルを受賞。

ベネヴァ コン・グサーノ

ベネヴァ コン・グサーノ

このメスカルは、1998年にワールド・チャンピオン・シップでゴールド・メダルを受賞している。また芋虫がボトルに一匹入っているので、現地さながらのインパクトを味わえる。

おすすめの飲み方

メスカルはストレートでもカクテルのベースとしても美味しく飲むことができます。

ストレートで飲む際は、現地メキシコでは「ヒカラ」と呼ばれる木の実をくり抜いて作られる器を使って飲まれます。

ヒカラは飲み口が広いため、メスカルのワイルドな香りを楽しむことができます。

またメスカルはストレートでも、ショットとしてではなく、アガベの風味をちゃんと味わって飲んでほしいです。

ちなみ私が初めてメスカルを飲んだ際は、バーの店主にメスカルを4種類出され、それぞれ「女子高生・女子大生・OL・熟女」という名称で提供されました。実際に飲んでみるとその表現がバッチリとあったので面白い飲み物だと思い、はまってしまいました。

 

カクテルのベースとして飲む

カクテルの材料としては、メスカルは他のお酒とケンカせず、逆にお酒の個性を活かしてくれます。

例えば、白ワインにメスカルを少し加えれば、白ワインのすっきりとした風味に加えて、メスカルのワイルドな香りが加わって、香りに深みが増します。

またウイスキーの代わりにメスカルを使ったハイボールもおすすめです。メスカルは炭酸で割ってもその風味は残り、スモーキーな香りが熟成年数が長いウイスキーのように際立ちます。

もちろんテキーラベースのカクテルにメスカルを使っても美味しいです!

マタドール

テキーラを使ったカクテルの代表の一つ。マタドールとは「闘牛士」という意味。

パイナップルとライムの酸味に加えて、メスカルのスモーキーな香りがマッチするカクテル。

材料
メスカル……30ml
パイナップルジュース……45ml
ライムジュース……15ml
作り方
1. メスカルとパイナップルジュースとライムジュースをシェイクすして、氷の入ったグラスに注ぐ。
2. 飾り付けにカットしたパイナップルやチェリーをお好みで乗せる。
マルガリータ

 

女性に大人気のカクテル「マルガリータ」。1949年に開催されたナショナル・カクテル・コンテストの優勝作品として世界的に有名なカクテル。

柑橘系でスッキリ爽やかなカクテルです。

メスカルの濃厚な味わいと、柑橘系のすっきりとした味わいが合うカクテル。

スノースタイルで、さすがメキシコのお酒を使ったカクテル、暑い夏にはピッタリ。

材料
メスカル……30ml
ホワイトキュラソー……15ml
レモン(ライム)ジュース……15ml
作り方
1. メスカルとホワイトキュラソー、レモンジュースをシェイクする。
2. 塩でスノースタイルにしたグラスに注ぐ。

 

まとめ

メスカルとテキーラの違いは主に「産地・品種・製造法・熟成」の4つです。

メスカルはメキシコの10の州で作られ、テキーラは5の州で作られます。

また、メスカルの大きな特徴である52種類のアガベを使用できるのも、1種類のアガベしか使えないテキーラとは大きな違いですね。

製造法もメスカルは小屋で作られることが多く、その年の気候や環境によって味が変化することも楽しみの一つです。

樽で熟成させるテキーラもいいですが、素材の味がしっかり感じることができるメスカルは、味わうにはもってこいのお酒です!

メスカル飲まずして、人生終われない。

お酒まっぷ

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