メキシコにテキーラ、アメリカにバーボン、ロシアにウォッカがあるとすれば、ブラジルのスピリッツはカシャッサです。
ブラジルで最も人気のあるスピリッツであるカシャッサは、小規模な家庭用蒸留器から大規模な産業まで、ブラジル全土で蒸留され、年間8億リットルが生産されています。
カシャッサ(またはカシャーサ)とは、サトウキビの搾り汁から作られる蒸留酒で、ブラジルのみで生産されており、ラム酒の一種と誤解されることが多いです。
カイピリーニャで有名なカシャッサは、スパイシーで甘く、フルーティーで透明なお酒で、法律によりブラジル国内で生産され、アルコール度数は38〜48度でなければならないことになっています。
現在では、アメリカやポルトガルなど世界的に注目され、品揃えの良いバーや酒屋に常備されています。
カシャッサは、砂糖をベースにした蒸留酒という点でラム酒と共通しているため、カシャッサをラム酒の一種であると誤解されることがしばしばあります。
実際に2013年まで、アメリカではカシャッサは「ブラジリアンラム」と表示されることがあり、カリブ海諸国など他の地域で生産されるラム酒と消費者が混同する原因となっていました。
しかし、アメリカとブラジル政府の合意により、アメリカに入荷するブラジル産サトウキビ蒸留酒はすべて “cachaça “と表記することが義務づけられました。
カシャッサとラム酒の大きな違いは、カシャッサがサトウキビの搾りたての汁を原料としている一方で、ラム酒は糖蜜などの砂糖の副産物から蒸留されることが多いです。
また、ラム酒はバーボン樽やシェリー樽で熟成させることが多いが、カシャッサは天然木で熟成させ、独特の風味を与えている点も違っています。
カシャッサはブラジルのみで製造されており、南米の国の国民的蒸留酒です。ブラジルには合法的な蒸留所が3,000以上あり、それとほぼ同数の蒸留所が違法にカシャッサを製造しています。
カシャッサは、サトウキビの搾りたての果汁を発酵させることが義務づけられています。また、サトウキビはブラジル産でなければいけません。
カシャッサは大まかに、サトウキビの搾りたての果汁を酵母で発酵させ、糖分をアルコールに変換した後、蒸留して造られます。
通常、単式蒸留が行われ、高級カシャッサには銅製のポットスチルが使用される傾向があり、蒸留後そのまま瓶詰めするものや、ステンレスタンクで一定期間寝かせるもの、熟成させるものなど様々なスタイルがあります。
この熟成に関しては、カシャッサを実にユニークなものにしています。
熟成の際に主に使われるのは、アメリカンオーク樽とフレンチオーク樽で、新樽と中古樽(バーボンやブランデーなどの蒸留酒を貯蔵していた樽)があります。
また、さまざまな種類の木材を使用して樽を作ることもでき、それぞれがカシャッサの個性を際立たせています。実際にブラジルのアンブラーナ、バルサム、カブルバ、タピンホアン、チークなど、さまざまな種類の木材が使用されています。
ラムがスパイシーでカラメルのような風味があるのに対して、カシャッサは一般的に、ボタニカルでフルーティーな香りがして、甘くて少し土っぽい味がします。
ラム酒とテキーラを混ぜたような味と言われることが多いが、未熟成か熟成かによって、正確な味は違ってきます。
熟成されたカシャッサは、何年も貯蔵されるため、よりまろやかな味わいとなり、樽の香りが漂い、よりリッチな味わいとなります。
ラム酒やテキーラと同様に、カシャッサの種類は蒸留後の保存状態によって色分けされています。
ポルトガル語で「白い」という意味のブランカは、未熟成、もしくはステンレスタンクでの熟成、またはスピリッツの色に影響を与えない木材での1年未満の貯蔵をされたものです。
アマレラとは「黄色」という意味で、ウロ(ゴールド)またはエンベルヘシーダ(熟成)のラベルが貼られている場合があります。
熟成カシャッサとして認められるには、700リットル以下の樽で最低1年間寝かせたカシャッサを50%以上含んでいなければなりません。
「プレミアム」は1年以上熟成させたカシャッサで、「エクストラプレミアム」となると3年以上熟成させたカシャッサになります。いずれも、100%のカシャッサを適切な樽で熟成させる必要があります。
カシャッサは好きなように飲むことができます。
最高級のカシャッサは、ストレートやオンザロックで飲むのが最適です。ショットで飲むのが好きな人もいます。また、カクテルの材料としても非常に汎用性の高いお酒で、最近のバーでは見かけることも多々あります。
しかし、カシャッサはブラジルの文化に深く浸透しており、ブラジルの国民的な飲み物である「カイピリーニャ」で最もよく知られています。
カイピリーニャとバティーダは、ブラジルの代表的なカクテルのひとつです。
カシャッサを使った新しいレシピは次々と開発され、一般的な味わいだけでなく、より遊び心のある味わいも加わっています。
ブラジルの国民酒「カシャッサ」には、さまざまな種類があり、製造方法によっても種類分けがされています。
カシャッサを使ったカクテルであるカイピリーニャは、モヒートと同様に夏の定番となること間違いなしです。
今回は、ストレートでもカクテルとしても飲めるカシャッサを紹介します。
カシャーサ51はブラジルで最も一般的なカシャーサの1つで、他のカシャーサと同様、発酵したサトウキビの生果汁から蒸留される。最初の一本は、王道のこのカシャッサから。
未熟成であるため、色は透明。その分土の香りを持つ糖蜜と砂糖の香りを楽しむことが出来る。
味わいは、やや甘いが、サトウキビを原料としていることを想起させる優しい甘み。カシャーサ51の全体的な口当たりは滑らかだが、未熟成ならではの荒々しさに気付かされます。
こちらも未熟成のカシャッサ。とてもクリアで、ホワイトテキーラを思わせるアロマが広がる。またピクルス、塩水、お菓子のような甘い香りが続き、未熟なパイナップルのような果実味も感じられる。
ピュアでシルキーな味わいは、パワフルなミネラル、塩、コショウ、オリーブパンのようなフレーバーで始まる。
このウェーバーハウスのカシャーサは、カネラ・ササフラスの樽で1年間熟成され、アルコール度数38度でボトリングされています。
カネラ・ササフラスは香料や薬用としても用いられ、ルートビアのようなペパーミント系の爽やかな香りが特徴的。
女性に買って欲しいと、可愛くピンク色のラベルで包まれたこのカシャッサは、ストレートで楽しめる飲み応えのあるカシャッサです。
オーク樽で1年、カブリウバ樽で1年熟成させたプレミアムカシャーサで、ドライな味わいの中にトーストしたナッツやタバコが感じられます。
さまざまな大会で受賞したカシャッサで、2年熟成された味わいを、熟成されていないものと比べるのにはもってこいのカシャッサ。
2022年に開催されたカシャッサの大会で、最高得点を出したカシャッサ。
ステンレスタンクで6ヶ月間貯蔵されており、見た目は、白く澄んでいて、サトウキビの搾り汁を思わせる、フルーティーな香りで繊細で力強く、持続性があります。
味わいは、軽くて、バランスが良く、ソフトで繊細、力強く、持続性があり、フルーティーな後味が残ります。
搾りたてのサトウキビを蒸留したカシャーサを、ブラジルのフリージョ樽で2年間熟成させたもの。ブラジル北東部の土着樹であるカルナウバヤシで、一本一本手作業で編まれたボトルです。
キャンディーフルーツのような香りと、甘いバニラの余韻が残る、まろやかで土っぽい味わい。
バルサム樽で2年半貯蔵され、その滑らかな味わいとハーブの強い香りが特徴。
見た目は金色で、透明で明るい。香りはドライフルーツとアニスの香りを持つ、草のような香り。そして味わいは、アニスの香りとバランスのとれた酸味があり、なめらかな味わいです。
グラピア樽で1年熟成させたカシャーサで、バニラやシナモンの香りがするやや辛口のカシャーサです。色は麦わら色で、味わいは木のような甘さとシナモンやバニラのような香りがします。
サトウキビの搾り汁から造られるカシャッサは、糖蜜などの砂糖の副産物から造られるラム酒とは違って、ボタニカルでフルーティな甘みと、土っぽさを味わえるブラジルならではの蒸留酒です。
天然木からなる樽から熟成されたカシャッサは、ウイスキーのように樽の種類や熟成具合をストレートで楽しむことができます。
ブラジルの国民酒であるカシャッサ(カシャーサ)は、日本ではまだ定番ではありませんが、夏のカクテルとしてカシャッサを使ったカイピリーニャが、モヒートのように定番として飲まれることは間違いなしです!